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C-channel

自作のフラッシュアニメです。見て下さい。

17_001

フラッシュアニメを見る
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スノウ(一時間ドラマ分のシナリオです)

○葉隠荘・全景(朝)
   ログハウス風の二階建てのロッジ。
   吹雪が降り積もっている。

○葉隠荘・リビング・中(朝)
   銃声の音
窓からは吹雪が見えている。
   南条秀樹33がはあはあと息を切らしな   がら右手に鉄砲を持っている。
南条の近くには頭から血を流した女1、女2、男2が倒れている。
南条、左手で頭を掻きむしる。
南条、窓から見える吹雪を眺める。

○山奥峠停留所
辺り一面雪が吹雪いている。
屋根付きの停留所に防寒具を着用した三宅八郎22と吉池絵里香22が震えている。
三宅の履いている手袋はスマホ用。
三宅、スマホを見ている。
スマホには神奈川でおきた銀行強盗の記事が書かれている。
三宅、空を眺める。
三宅「送迎車来ないですねぇ」
絵里香、三宅を睨み付ける。
絵里香「ってゆーか超寒いんですけど、どう
 にかしてよ」
三宅、たじろぎ。
三宅「どうにかって言われましても駅に着い たとたんこの雪ですから」
絵里香、腕組みをして三宅に詰め寄る。
絵里香「だいたいねぇ、あんたが雪山行きた
 いって言ったんでしょ、責任取りなさいよ
 ね」
三宅「ひぃ~、責任と申しましてもぉ、吉池 氏だってのりのりでついてきたじゃないで すか~」
絵里香「あ?何か言った?」
三宅「いえ、何も」
絵里香「しかも雪山来たって言うのにスキー
 もスノボもしないってあんた何しに来たの よ」
   三宅、中指で眼鏡の縁の眉間部分を触   る。
三宅「解ってませんねぇ、吉池氏、この雪山
 はかの有名なサウンドノベル、雪男の夜の
 舞台になったいわば聖地ですよ」
三宅、絵里香に詰め寄り人差し指を立   てる。
三宅「そしてこれから行く葉隠荘はその惨劇 の舞台!スキーやスノボーなんてしてる暇 ないんですよ」
絵里香「だからって何で天気悪いの解ってて
 来んのよ!もうちょっと天気良い日選びな
 さいよね!」
   三宅、首を振り眼鏡を触る。
三宅「いやいやいや、吉池氏、聖地巡礼の醍
 醐味はその舞台になった日時をも合わせ舞
 台の空気感を味わう事にあるんですよ」
絵里香「もぉいい、あたし行く」
   絵里香、雪の中を歩き出す。
三宅「ちょっちょっと?吉池氏?雪吹雪いて
 ますよ?」
絵里香、三宅の方に振り返り。
絵里香「こうしてても寒いだけだし、とっと とペンション行ってあったかい物食べるわ よ」
絵里香、また歩き出す。
三宅「それもそうですね、待って下さ~い、 吉池氏~」
三宅、スマホをポッケに仕舞い、ふらふらしながら絵里香を追いかけるが、途中クシャミをする。
絵里香、振り返り、やれやれというように頭を抱える。

○道
先程よりも雪の勢いが強い。
三宅の眼鏡に雪が被っている。
絵里香、スキー用のゴーグルをかけて歩いている。
三宅「さっ寒い~、死ぬ~」
絵里香「ちょっと、まだペンション着かない の?」
三宅「そろそろ着いても良さそうなもんです
 けどねぇ、ホームページには徒歩20分と書
 いてあったし」
絵里香「かれこれ1時間は歩いてるわよ、凍
 傷になったらどうすんのよ、責任取りなさ
 いよね」
三宅「責任と申しましてもぉ吉池氏、あんま
 り怒ると皺が増えますよ」
   三宅、はっとし、手で口を押さえる。
絵里香「なんですって~?」
   絵里香、拳を上げる
   三宅、手で頭を庇う。
三宅「いっいや、吉池氏は怒った顔より笑っ
 た顔の方が可愛いなあと言いたかっただけ です」
絵里香「そう?」
   三宅、手をごますりポーズ。
三宅「それはもう~、いや~、吉池氏の美し い笑顔には百万ドルの夜景も霞んでしまい ますよ~」
絵里香「そ、それならいいのよ」
絵里香、拳を下ろす。
   三宅、ほっとし、胸をなで下ろす。

○葉隠荘・全景
三宅と絵里香、ほっとした顔で建物を見る。
絵里香「やっと着いたわね」
三宅「ええ、長い道のりでした」
絵里香「結局2時間も歩いたわよ、死ぬかと
 思ったわ」
三宅「ええ、僕も途中三途の川がちらほら見
 えました」
三宅、腕時計を見る。
三宅「まあ駅から5分は実は15分と言います し、雪も降っている事をふまえれば妥当な 時間かと」
絵里香「そぉ?私はてっきりあんたが道間違
 えたのかと思ったわ」
   三宅、眼鏡を触る。
三宅「その辺は心配いりません、この日の為
 に先輩巡礼師の方々のブログでこの辺り一
 帯の地形は把握済みですから」
絵里香「そ、とにかく入るわよ、早く暖かい
 物食べたいんだから」
   三宅と絵里香、建物に向かって歩き出   す。

○同・玄関・前
三宅と絵里香が玄関のドアの前に立っている。
絵里香、ゴーグルを外し、体の雪を払う。
絵里香、ドアノブを回すが鍵が掛かって開かない。
絵里香「あれ?鍵掛かってる」
三宅「留守でしょうか?」
絵里香、三宅をじろっと見る。
絵里香「あんた本当に予約取ったんでしょう ね?」
三宅「取りましたよ~」
絵里香「本当に~迎えが来なかった事といい
 どうもあやしいのよね~」
   絵里香、チャイムを押そうとする。
三宅、下を見るとドアの下の雪が赤く染まっている。。
三宅「待って下さい!」
絵里香、手をピタッと止める。
絵里香「何よ」
三宅、四つん這いになり、血に染まっ   た雪を手に取る。
三宅「血痕が」
絵里香「結婚?結婚はまだ早いわよ~、私達 まだ学生だしつき合って半年しか経ってな いし」
三宅「違います吉池氏、そのけっこんじゃな くて」
絵里香「解ってるわよ、ボケただけよ、ここ
 は女らしく絹を裂くような悲鳴で叫んどく
 べき?」
三宅、絵里香に向かって手をストップ   の形に出す。
三宅「止めて下さい吉池氏、キャラが違いす
 ぎます」
絵里香「あのさあ三宅君、殴ってもいいかな あ」
   絵里香、笑顔で拳を作る。
三宅「ひぃ、ご、ごめんなさい、調子に乗り
 ました」
   三宅、たじろぐ。
絵里香「解ればいいのよ」
   三宅、ほっとする。
三宅、血に染まった雪を見ながら。
三宅「もしかしたら中で何かあったのかもし れません、吉池氏、ヘアピン的な物はもち あわせていませんか?」
絵里香「ああそれなら」
   絵里香、頭からヘアピンをはずし三宅   に渡す。
絵里香「はい」
   三宅、ヘアピンを伸ばし鍵穴に刺す。
   絵里香、鍵開けをする三宅を覗き込む。
絵里香「器用ね~鍵開けなんてよく出来るわ ね~」
三宅「ええ、大学のミス研の先輩に教わりま した」
絵里香「ミス研?うちの大学ミス研なんてあ った?」
三宅「京大のミス研ですよ」
絵里香「京大って、随分遠いわね、関東です らないじゃない」
   三宅、眼鏡を触る。
三宅「知らないんですか?吉池氏、大学のサ
 ークルって部外者でも入れるんですよ、ま
 あうちの大学はどうだか知りませんけど」
絵里香「あっそ」
   鍵があく。  
三宅「あいた!」
   三宅と絵里香、目を見合わす。
三宅「開けますよ」
絵里香「い、いいわよ」
   三宅、ごくりと唾を飲む。
   三宅、ドアを開ける。
   内開きのドアがギィィと音を立てて開   く。
   玄関の中には背中が血みどろになった   篠原祐二20がうつ伏せになって倒れて   いて、体から流れ出た血がドアに向か   って流れている。
三宅「ひっひぃぃぃぃ」
三宅、その場に尻餅をつく。
絵里香、男を見て口に手を当てて驚く。

○同・玄関・中
   絵里香、中に入り篠原に近づく。
三宅、ドアの前で尻餅をついている。
絵里香「大丈夫ですか?」
   絵里香、篠原を触る。
   しかし篠原はぴくりとも動かない。
絵里香「だめ、死んでるみたい」
絵里香、首を左右に振り、三宅の方を   見る。
   三宅、いつの間にか閉まっているドア   のノブを掴みながら震えている。
絵里香「どうしたの?」
三宅「ぼ、僕駄目なんですぅ死体とか見たの
 初めてで」
絵里香「あんたしょっちゅうゲームで人殺し
 てるでしょうが」
三宅「あれはゲームだからですよ、実際の死
 体となると話は別なんです!医学部の吉池 氏と一緒にしないで下さい」
絵里香「どういう意味よ」
三宅「そっそうだ!警察!警察に連絡しまし ょう」
三宅、バックの中の携帯を取り出す。
しかし携帯の電波が無い。
三宅「ぬお~!電波が!」
絵里香「でしょうねぇ」
三宅「かっ帰りましょう!こんな人が死んで
 る様な所危険ですよ!僕達迄殺されちゃい ますよお」
絵里香「いやよ、あんな雪の中二度と歩きた くないわ」
三宅「そんなあ」
絵里香、玄関の窓を見る。
外の雪はさっきより強くなっている。
絵里香「それにさっきよりさらに酷くなって るわよ、今外歩いたらそれこそ凍死するわ ね」
三宅「だからってこんな所居たら危険ですよ
 !それにまだ犯人が中に居るかもしれない のじゃないですか!」
絵里香「あぁもう、居たら居たでそんときゃ
 そん時でしょ」
三宅「え~」
   三宅、死体をじっと見つめ死体の手に
   ペンが握られている事に気づく。
三宅「こっこれは!」
絵里香「なによ、まさかダイイングメッセー
 ジとか言うんじゃないでしょうね、お約束 の」
三宅「これは、雪男の夜DVD付き限定版の
 付録のボールペン!しかもシリアルナンバ
 ー1番!同士よぉぉ~」
   三宅、目を瞑り敬礼する。
絵里香「そういう奴よね、あんたって」
絵里香、あきれ顔。
絵里香「あ~もう!とにかく、私は暖かい物
 が食べたいの、行くわよ」
   絵里香立ち上がり、奥のドアに向かっ   て歩く。
三宅「まっ待って下さいよぉ、置いてかない で下さい吉池氏~」
   三宅、もたもたと絵里香を追いかける。
○同・リビング・中
   絵里香、ドアを開ける。
   三宅、絵里香の後ろから中を覗き込む。
リビングは沢山の血で汚れている。
リビングのソファーには女1の死体が、床には男2、女2の死体が倒れている。
絵里香「何、これ」
三宅、頭を抱える。
三宅「ひぃぃぃぃっ」
絵里香「なに?これ、もしかして皆死んでる の?」
   三宅、絵里香の腕を引っ張る。
三宅「かっ帰りましょう吉池氏、まだ犯人が いるかも」
絵里香「そっそうね」
   三宅と絵里香、回れ右して帰ろうとす   る。
   突然奥のドアからごそごそと物音がす   る。
三宅「ひっ」
   三宅と絵里香、物音のする方向を恐る   恐る見る。
   絵里香と三宅、ひそひそと話す。
絵里香「誰か居るのかしら」
三宅「きっとこの人達を殺した犯人ですよ~ 早く逃げないと」
   三宅と絵里香、物音のするドアを緊張   の面持ちで見つめる。
   奥のドアがゆっくりと開く。
   三宅、絵里香の腕にしがみつきごくり   と唾を飲む。
   奥のドアから南条が出てくる。
南条「あれ?まだ生きてる人居たんだ?」
三宅「ぎゃぁぁぁぁ~」
三宅、絵里香から手を離し逃げる。

○同・廊下
三宅が猛ダッシュで走っている。

○同・玄関・前
   三宅、猛ダッシュで外に出る。
   外はものすごいブリザード。
三宅、雪が顔にかかって目を細める。
三宅「うっ」
三宅、凍えながら立ちすくむ。
三宅「吉池氏、無事ですか?」
   三宅、後ろを振り返るが誰も居ない。
三宅「あれ?吉池氏?」
三宅の顔が硬直する。
三宅「そんな」
   三宅の顔が真っ青になる。

○同・リビング・中
   三宅、ドアから恐る恐る部屋の中を覗   く。
三宅「吉池氏~どこですか~もう殺されちゃ ったんですか~」
中には死体以外の人の気配は無い。
三宅、恐る恐る中に入る。
三宅「居ない」
絵里香の声「何してんのよ」
   三宅、声のする方向を振り返る。
   三宅が入って来たドアの柱に絵里香が   腕を組み寄りかかっている。
三宅「ひぃぃっ吉池氏!ごめんなさいごめん なさい!すいません!迷わず成仏して下さ い!」
三宅、床にひざまずき拝む。
絵里香「勝手に殺さないでくれる?」 
三宅「あれ?無事だったんですか?」
絵里香「まあね、それよりちょっと来て」
   絵里香、三宅の襟首を引っ張る。
三宅「えっちょっ、どっどこに連れてくんで すか?」
三宅、絵里香に引きずられながら奥に   連れてかれる。

○同・ワインセラー・中
煉瓦作りのワインセラーの中には沢山のワインがワイン棚に収蔵されている。
絵里香がドアを開ける。
絵里香と絵里香に引っ張られた三宅が中に入る。
三宅「ここは?」
絵里香「地下のワインセラーよ、ここならし ばらく見つかる心配は無いわ」
三宅「なっ何で吉池氏がこんな所知ってるん です?」
南条の声「僕が教えたからさ」
   ワイン棚の陰から南条が出てくる。
三宅「ひぃぃぃ!あっあなたはさっきの殺人 鬼!」
三宅、たじろぐ。
絵里香「違うわよ馬鹿」
   絵里香、三宅の頭を叩く。
三宅「ほえ?」
絵里香、南条の方を手で差し伸べる。
絵里香「この人は南条秀樹さん、このペンシ ョンの宿泊客の一人よ」
三宅「だから!宿泊客兼殺人鬼でしょ?この 人」
三宅、南条を指差す。
絵里香「違うわよ」
南条「ははは、殺人鬼とはまた悪人に見られ たもんだ」
三宅「じゃっじゃあさっきのあの死体は?一 体誰が殺したんですか?」
南条「そうだね、まずはそれを説明しないと いけないかな」
   南条、煙草に火を付け、口に咥える。
南条「事件は昨日の朝に起こった、宿泊客の 一人が客室で首を吊っていたんだ」
三宅「自殺ですか?」
南条「ああ、最初は皆そう思っていたんだ、 けど」
三宅「けど?」
南条「遺留品の財布の中に三日後に行われる ラビッツのライブのチケットとファンクラ ブの会員証が入っていたんだ」
三宅「それはおかしいですね!」
三宅、眼鏡のフレームを中指で触る。
絵里香「何でよ?急に死にたくなったんでし ょ?」
三宅「ファンクラブに入る位好きなんですよ、 ライブを目前に死ぬなんてありえないです よ、僕ならライブが終わってから死にます」
絵里香「そうなの?」
三宅「そうですよ!しかも今をときめく人気 アイドルラビッツのライブですよ!ファン なら匍匐前進してでも行きますよ!」
絵里香、腕組みをして三宅に微笑む。
絵里香「ふ~ん、三宅君は私よりその人気ア イドルグループの方が好きなのね、そ~お よ~っく解ったわ」
三宅「えっあっちっ違いますよ、僕は3次元 では吉池氏一筋であります!本当ですよぉ 信じて下さい!」
絵里香「ふーん」
   絵里香、三宅を疑いの眼差しで見る。
南条「僕たちの間でもそれがおかしいって事 になってね、なにしろチケットの番号がか なり良かったらしいから」
三宅「おおっそれならなおのことありえない です!なにしろ良番はオークションで10万 単位で取引される事もあるらしいですから」
絵里香「10万って、そんなの一体誰が買うの よ」
三宅「セレブオタですよ、奴ら洋服とかに金 使わない分金が有り余ってるんですよ、パ ラサイトだし」
絵里香「キモっ」
南条「だけど部屋はドアも窓も中から鍵がか かっていたんだ」
三宅「密室殺人キター!」
   絵里香、三宅の頭を叩く。
三宅「あたっ」
絵里香「あんた声でかい」
三宅「すいません」
南条「結局隣の部屋の客が怪しいって事にな ってね、とりあえず物置に拘束しておいた んだ」
   南条、床に煙草を落とし靴で踏みつぶ   す。
三宅「どうして隣の部屋の人が犯人って事に なったんですか?」
南条「殺されてた部屋と隣の部屋が屋根裏で 繋がってたんだ」
三宅「なるほど、で?その方は今も拘束され てるんですか」
南条「いや、それが昨夜食事を持って行った ら消えてたんだ」
三宅「消えていた?」
南条「ああ」
絵里香「逃げちゃったって事?」
三宅「誰かが逃がしたのかも」
南条「しかもその犯人、どうやら今逃げてい る銀行強盗らしくて拳銃も所持してるみた いで」
絵里香「それで皆殺されちゃったのね」
   南条、頷く。
三宅「そっそれじゃあ僕たちも早く逃げない と殺されちゃうじゃないですか~」
絵里香「逃げるって言っても外吹雪よ」
三宅「でも何とかすれば」
南条「いや、雪を甘く見ない方がいい、この 辺りでも降雪量が多い日はよく死人が出る みたいだから」
絵里香「だって」
三宅「そんな~」
   三宅、頭を抱える。
絵里香「で?今その犯人はどこに居るんです か?このペンションのどこかには居るんで すよね」
南条「ああ、おそらくね」
三宅「おそらく?」
南条「実は犯人が消えてから誰も犯人の姿を 見ていないんだ」
三宅「って事は」
絵里香「今も銃をかまえながらどこかに潜ん でいるって事?」
南条「ああ、警察に電話しようにもこの雪で 電話線が切れて通話できないみたいだし携 帯も繋がらないし」
三宅、不安な顔で天井を仰ぐ。
   ×   ×   ×
   三宅、そわそわしてうろうろしている。
絵里香「ちょっと、落ち着きなさいよ」
三宅「だって殺人鬼と一緒の建物に閉じこめ られてるんですよ!こここ怖いじゃないで すか!」
絵里香「そりゃあそうだけど」
三宅「きっとトイレとか行って一人になった 隙を狙って後ろから襲いかかってくるんで すよ~」
絵里香「ああ、それはあるかもね」
三宅「それで人間業とは思えないような力で 頭とかひねり潰されるんですよ!山の殺人 鬼に!」
絵里香「それこの前あんたが読んでたホラー 小説でしょ」
南条「へー、三宅君はホラーとかそういうの 好きなんだ」
三宅「えっいや、普段はミステリーばっかな んですけど好きな作家さんがホラーも書く もんで」
南条「へえ、ミステリーか、僕もよく読むけ ど三宅君はどんなの読むんだい東野圭吾と か?」
三宅「そうですね、色々読みますが一番好き なのはなんと行っても本格ミステリーです ね」
南条「本格ミステリーかあ」
絵里香、南条の方を見ながら三宅を親指で指す。
絵里香「この人このペンションが好きな本格 ミステリーゲームの聖地だとか言って吹雪 きの中来たんですよ」
絵里香、苦笑い。
南条「そういえば篠原君、ああ殺されちゃっ た子なんだけどね、彼もそんな事言ってた なあ」
三宅「もしかして玄関に倒れてた人ですか?」
南条「ああ、そっか見たのか」
三宅「ええ、手に雪男の夜のボールペンを持 ってました、生きてたらきっと話が合った のに」
   三宅、寂しそうな顔。
南条「そうか、それは残念だったね」
絵里香「そういえばあんたさっきどさくさに 紛れてあのペンパクってなかった?」
三宅「え?あっいっいやっそっそんな事して ないですよ」
絵里香「本当に~なんかめっちゃ怪しいんだ けど」
絵里香、三宅に疑いの眼差し。
三宅「あっ怪しくないですよ!本当本当」
三宅、両手をぶんぶん振る。
絵里香「本当~?」
   絵里香、三宅をくすぐる。
三宅「あ~やめてください吉池氏!すいませ ん!すいません!ほんの出来心だったんで す!」
   三宅、ペンを出す。
絵里香「やっぱりね、後でちゃんと返しとき なさいよ」
三宅「はい~」
   三宅、ポケットにペンを入れようとし   てペンの異変に気づく。
三宅「あれ?」
絵里香「どうしたの?」
三宅「何かこのペン変なんですよ」
絵里香「変?」
三宅「ええ、僕もこのペン持ってるって言っ てたじゃないですか」
絵里香「ああ、そういえば言ってたわね~そ んな事」
三宅「それがこれなんですけど」
   三宅、バックからペンを出し絵里香に   見せる。
絵里香「なんか違うわけ?」
三宅「いえ、全く同じ筈なんですけど」
   三宅、篠原の方のペンを見せる。
   篠原の方のペンには足に傷が付いてい   る。
三宅「見て下さい、ここ、足の部分、歯で噛 んだような痕が付いてるでしょ?」
絵里香「使ってて付いたんでしょ?よくある 事じゃない」
三宅「ないですよ!限定版ですよ!めちゃく ちゃ大事に使いますよ」
絵里香「じゃあどういう事よ」
三宅「おそらくこれは、ダイイングメッセー ジじゃないかと」
三宅、眼鏡のフレームを触りキメ顔をする。

○同・廊下
   三宅と絵里香と南条が歩いている。
絵里香「ちょっと、死体を確認したいってど ういう事よ」
三宅「気になる事があるんです」
絵里香「死体苦手なんじゃなかったの?」
三宅「それはそうなんですけどね」
絵里香「それに見つかったらどうすんのよ、 相手は銃持ってんのよ」 
三宅「なあにこっちは三人居るんです、それ にいざとなったら吉池氏のスゴ技でなんと かなりますよ」
絵里香「人を化け物みたいに言わないでくれ る?」
三宅「南条さん、まずは最初に殺されていたっていう方の死体が見たいんですが」
南条「あっああ、こっちだよ」
   南条が先頭に立って歩く。
三宅と絵里香、南条についてく。

○同・客室・中
   ロフトの柱に山岸悟35首吊り死体がぶ   ら下がっている。
三宅と絵里香と南条が首吊り死体を見上げている。
三宅「うっわあ」
南条「一応警察が来た時の為にそのままにし てあるんだ」
三宅「うっ」
   三宅、口元を手で押さえる。
絵里香「ちょっと、ここで吐かないでよね」
三宅「わっ解ってます」
   三宅、ベッドの下にへたり込む
   三宅、ベッドの下の携帯電話を発見す   る。
三宅の心の声「携帯電話?」
   三宅、携帯電話をこっそりポッケに入   れて起き上がる。
南条「この人が最初に殺された山岸さん、財 布の免許所を見たけど八王子に住んでたら しいんだ」
三宅「で?そのチケットっていうのは?」
南条「ああ、これだよ」
   南条、山岸のバックの中をあさり、財   布を取り出し、財布の中に折り畳んで   あるチケットを取り出す。
   チケットにはアリーナ席SS20番と書   かれている。
三宅「おぉ、アリーナ席のSS20番!めちゃ くちゃいいじゃないですか!」
南条「だろ?」
三宅「これちょっと預かっててもかまいませ んか?」
南条「えっああ、まあ僕は構わないけど」
絵里香「あんたどさくさまぎれにパクるつも りじゃないでしょうね」
三宅「えっちっ違いますよ!僕は純粋に犯人 確保に協力しようと」
絵里香「本当に~?」
   絵里香、疑いの眼差しで三宅を見る。
三宅「本当ですよ~」
   三宅、自分の財布にチケットを入れる。
   三宅、山岸の死体を観察する。
三宅「首吊り以外の外傷は無さそうですね」
南条「ああ、おそらく薬か何かで眠らせた後 吊ったんじゃないかってのが大胸の意見だ よ、ほら」
   南条、棚の引き出しに入っている薬入   れに入っている睡眠薬を見せる。
三宅、睡眠薬を観察する。
三宅「睡眠薬ですか」
南条「どうやら常用してたみたいだね」
三宅「これを犯人が利用したと」
南条「ああ」
三宅「屋根裏ってのはどこにあるんですか?」
南条「ああ、ここだよ」
   南条、ロフトの階段を上がる。
三宅と絵里香、南条についていく。
ロフトの奥の方の天井に屋根裏に続く扉があり、タンスに登ると入れるようになっている。
三宅、タンスに登り、屋根裏の扉を開き屋根裏を覗く。
三宅「うわっずいぶん暗いんですね」
南条「ライト持ってこようか?」
三宅「お願いします」
三宅南条の方を見る。
南条、一旦部屋を出る。
   
○同・屋根裏
   三宅が上半身を屋根裏に入った状態で   ライトで屋根裏を照らしている。
   屋根裏には蜘蛛の巣が張り巡らされて   いて埃も溜まっている。
絵里香の声「どう?隣の部屋と繋がってる?」
三宅「解りません」
   三宅、屋根裏に這い上がる。
三宅「よっと」
南条「まっすぐ行った所に同じ様な扉がある 筈だから」
三宅、匍匐前進して進むと蜘蛛の巣に絡まる。
三宅「うわっ蜘蛛の巣!ひぃぃっ」
絵里香「ちょっと!大丈夫?」
   三宅、せき込みながら進む。
三宅、扉を発見する。
三宅「ん?これか」
三宅扉を触る。

○同・客室・中
   三宅、せき込みながら屋根裏から出て   くる。
絵里香「どうだった?」
三宅「ええ、確かに隣の部屋と繋がっていま した」
絵里香「やっぱり」
南条「犯人はやっぱり七瀬さんで決まりのよ うだね」
三宅「七瀬って?」
南条「ああ、隣の部屋の客だよ」
三宅「消えた犯人ですか?」
南条「うん」
三宅「一応他の死体も確認したいんですがよ ろしいですか?」
南条「ああ」
三宅「っとその前にトイレ!」
   三宅、客室のトイレに入る。
   ×   ×   ×
絵里香、トイレの前で腕組みをしている。
南条、ソファーに座り煙草を吸っている。
絵里香、トイレのドアを叩く。
絵里香「ちょっと!まだ?早くしてよ!」
三宅の声「すっすいませんっちょっとおっき い方でして、もうしばらくお待ちを」
絵里香「はぁ?最悪なんですけど」
   ×   ×   ×
絵里香と南条、ソファーに座っている。
三宅、トイレから出て来る。
三宅「ふぅっ、お待たせしました」
絵里香「あんたねえ、人待たせておいて大す るってどういう事?」
三宅「しょっしょうがないじゃないですかぁ、 生理現象なんですから」
絵里香「ったく」
絵里香、トイレに入る。
三宅「あ、吉池氏も入りたかったんですね」
絵里香の声「うっさいわね!」
   三宅と南条、目を合わせ苦笑い。
×   ×   ×
   絵里香がトイレから出て来る。
三宅、立ち上がる。
絵里香「ふう」
三宅「次の現場に向かいましょう」
南条「もうここはいいのかい?」
三宅「ええ、だいたい解りましたから、ああ そうだ吉池氏」
絵里香「何よ」
   三宅、絵里香にひそひそ話しをする。
   南条、三宅達を怪訝な表情で見る。

○同・廊下
三宅と絵里香と南条が歩いている。
三宅「そうだ、現場検証ついでに犯人探しも やっときませんか?」
絵里香「そっそうね」
南条「えっ危険じゃないかな、相手は銃を持 ってるんだし」
三宅「なあに、こっちは三人も居るんです、 それにこのままのさばらせておく方が危険 だと思いませんか?」
南条「そっそれはそうだけど」
三宅「そんなに心配でしたら、ああそうだ、 何か武器などあれば安心でしょう」
南条「武器?」
三宅「そうだなあ、斧とか鉈とかあると丁度 いいんですが」
南条「鉈、ねえ」
三宅「何か知りませんか、そういった武器に なりそうな物がある納戸とか」
南条「納戸ねえ、いや、ちょっと解んないか な、残念ながら」
三宅「そうですか、残念です、それじゃあ吉 池氏の凄技に頼る他ありませんね」
絵里香、三宅の首を絞める。
三宅「ぐぉっ」
   絵里香と三宅、ひそひそ話す
絵里香「あんた私の事何だと思ってんのよ」
三宅「まあまあ」
三宅、絵里香をなだめる。

○同・客室2・中
三宅と絵里香と南条が入り口から中を覗いている。
机の上には荷物が置いてある。
三宅、クローゼットを覗く。
南条、ベッドのシーツをめくる。
絵里香、トイレのドアを開ける。

○同・男湯・脱衣所・中
三宅と絵里香と南条がうろうろ見ている。
三宅、浴室の扉を開ける。
三宅「いませんねえ」
三宅、浴室の扉を閉める。

○同・リビング・中
ソファーに女2の遺体が転がっている。
床には男と女1の遺体か転がっている。
リビングは血しぶきが飛び散っていて、床は沢山の血が流れている。
ドアを開けて三宅と絵里香と南条が入って来る。
三宅「うっわあ」
絵里香「何度見てもすごいわね」
三宅「宿に居た人達はこれで全員ですか?」
南条「ああ、そこの男性がオーナーでソファ ーに倒れてるのがオーナーの奥さん、床に 倒れている女性が篠原君の彼女だよ」
三宅「それに玄関の篠原さんに二階の山岸さ んですね」
南条「それから七瀬君と僕で全員だよ」
三宅、遺体を観察する。
遺体には全て銃で撃たれたような痕がある。
三宅「全員銃で撃たれてるんですね」
三宅、しかめっ面で遺体を見る。

○同・キッチン・中
三宅と絵里香と南条が入って来る。
三宅「ここにも居ない」
絵里香「お腹すいたわね~何か無い?」
絵里香、冷蔵庫を開けて板チョコを取り出して食べる。
三宅「あれだけ死体見た後によく食べる気に なりますね~」
絵里香「もう慣れちゃったからね~」
三宅「ああ、医学部の実習は解剖もあります からねえ」
絵里香「そゆこと~」
南条、そわそわしている。
三宅、南条をちらりと見る。

○同・客室3・中
三宅と絵里香と南条が中をうろうろしている。

○同・女湯・浴室・中
   三宅と絵里香と南条がうろうろしてい   る。
三宅、タイル張りの床に滑る。
三宅「うわっとととっ」
三宅、こけて床に頭を打つ。
絵里香、三宅を見てあきれる。

○同・納戸・前(夕)
   三宅と絵里香と南条が緊張した顔でド   アの前に立っている。
三宅「後は、この部屋だけですね」
   三宅と南条、目を合わせる。
絵里香「どうする?中に犯人が居たら」
三宅「その時はその時ですよ」
絵里香「そうね」
三宅、ごくりと唾を飲む。
三宅、恐る恐るドアノブを触る。

○同・納戸・中(夕)
納戸にはスコップやデッキブラシ、バットなどが収蔵されている。
三宅、ドアを開けて入って来る。
絵里香と南条、三宅に続き入って来る。
絵里香「居ない」
三宅「おかしいな~ここに居ると思ったんだ けど」
絵里香「は~緊張して損した」
三宅、バットを見る。
三宅「でっでも武器になりそうな物は見つか った訳だし、これで犯人と遭遇しても安心 じゃないですか」
三宅、バットを持つ。
絵里香「それもそうね」
絵里香、デッキブラシを持つ。
三宅「でも、犯人どこ行っちゃったんでしょ う」
絵里香「さあね、雪が弱まったのを見計らっ て逃げちゃったんじゃない?」
三宅「そうでしょうか、あっ」
絵里香「どうしたの?」
三宅「まだ探してない所がありました」
   三宅と絵里香と南条、向かい合う。

○同・キッチン・中(夕)
   バットを持った三宅とデッキブラシを   持った絵里香と木の棒を持った南条が   入って来る。
絵里香「キッチンはさっき探したじゃない」
三宅「ええ、でもさっき見てなかった所があ ったんです」
三宅、床にしゃがみ込む。
そこには床下収納の扉がある。
絵里香「床下収納?でもこんな所に人が隠れ られるの?」
三宅「生きた人間は無理でしょうね、だけど」
三宅、床下収納を開ける。
三宅「死んだ人間なら、ほら」
   床下収納には折り畳まれた七瀬登40の   死体が入っている。
絵里香「あっ!」
三宅「居ましたよ」
   南条、突然絵里香に後ろから木の棒で   殴ろうとする。
三宅「危ない!吉池氏!」
絵里香「え?」
絵里香、後ろを振り返る。
南条、木の棒で絵里香に襲いかかる。
   三宅、南条にタックルする。
   南条、三宅に襲いかかる。
絵里香「八郎!」
   絵里香、デッキブラシで南条を倒す。
×   ×   ×
南条、ロープで縛られて座らされている。
三宅と絵里香、立って南条を見下ろしている。
絵里香「まさか本当に南条さんが犯人だった なんてね」
三宅「厳密に言うとその後の殺人の犯人だっ た訳なんだけどね」
絵里香「どういう事?」
三宅「第一の殺人の犯人はこの人じゃないよ」
絵里香「何?じゃあ他に犯人が居るって事?」
三宅「いや、元々犯人なんて居なかったんだ」
絵里香「え?」
三宅「首吊りした人の携帯電話にプロポーズ の断りのメールが残っていたよ、多分その メールで死のうと思ったんじゃないかな」
南条、ぼそっとつぶやく。
南条「だから言ったんだよ、俺じゃないって」
三宅「屋根裏も確かに繋がってはいたけど人 が通った痕跡は無かったよ」
絵里香「じゃあ無実の罪をきせられて殺さな くていい人迄殺しちゃったって事?何でそ んな」
三宅「多分今ここで捕まる訳にはいかなかっ たんだろうね、銀行強盗しなくちゃならな い程困っていたみたいだから、でしょう?」
南条「ああ……」
南条、天井を眺める。

○(回想)病院・診察室・中
医者と南条が向かい合って座ってる。
南条「え?移植するのに一千万もかかるんで すか?」
医者「ええ、日本では15歳未満はドナーにな れないのでアメリカで手術しなければなり ません、それには最低でもそれ位は」
南条「そんな」
   南条、俯く。

○(回想)同・病室・中
薄暗い病室。
南条恵4がベッドで寝ている。
南条が入って来て恵の寝顔を眺めている。
南条、泣く。

○元のキッチン(夕)
南条が天井を眺めている。
南条の目から涙が流れる。
三宅、窓を眺める。
窓から見える雪はやんでいる。
三宅「ああ、雪もやんできたようですね、そ ろそろ警察も来る頃でしょう」
絵里香「携帯繋がったの?」
三宅「ええ、首吊りしたかたの携帯電話がな んとか繋がるやつでしてね、トイレでちゃ ちゃっと」
絵里香「だからトイレ長かったのね」
三宅「ええ」
窓から夕日が差してくる。
三宅、窓から外の夕日を眺める。
絵里香、三宅を眺める。
パトカーのサイレンの音。
銃声。
三宅・絵里香「え?」
三宅と絵里香が振り返ると縄抜けした南条が銃を持って死んでいる。
南条のズボンはめくれている。
絵里香、口を手で押さえる。
三宅目を見開く。

○恵比寿大学・構内(朝)
   三宅が小説を読みながら歩いている。
   三宅の後ろから絵里香が掛けてきて、   三宅の背中を押して横に並ぶ。
絵里香「おっはよ~」
三宅「ああ、おはようございます吉池氏」
絵里香「全く、八郎のおかげで連休は散々だ ったわよ」
三宅「すいません」
絵里香「でも悲しい事件だったわよね、娘さ んの手術費用の為に銀行強盗してたんでし ょ?」
三宅「ええ、でも良かったんでしょうか、僕 がよけいな事しなきゃあの親子は助かった かもしれないのに」
絵里香「いいんじゃないの?娘を助ける為と はいえ沢山の人間を殺しちゃったんだから、 しょうがないよ」
三宅「でも……」
絵里香「あっそうそう、例の女の子の事なん だけどさ、うちの教授に話したらうちの大 学で手術費用出してくれるってさ」
三宅「え?」
   三宅、キョトンとして立ち止まる。
絵里香、三宅の前を歩く。
絵里香「まあこれも普段から真面目に首席を キープし続けてきたこの私のおかげかしら ね~」
三宅、笑顔になる。
三宅「よっ吉池氏!やっぱり吉池氏っていい人だったんですね!」
三宅、絵里香の元に駆け寄る。

私立仮面学園演劇部の妄想アニメ用原稿

=公園=

A「春、卯月、私の心は希望に満ち溢れていました。」

B「アメンボ赤いなあいうえお・・・」

A「演劇部かなんかかな~よくやるな~こんな所で恥ずかしくないのかな~。」

B「そこのあなた、何か用かしら?」

A「え!あぁいえ・・・別に・・・ただ何してるのかなぁって。」

B「なぁんだ、私のファンの子かと思ったのに。」

A「あ・・・もしかして女優さんか何かなんですか?」

B「?違うわよ。あ!でも半分正解ね!なんせ私は未来の大女優になるべく生まれてきた人間だから!」

A「はぁ。」

B「あ!もうこんな時間!大変!いそがなきゃ!」

A「・・・変な人。」

=教室= チャイムの音

A「ふ~やっと着いた、今日からここが私のクラスかぁ。」

B「遅刻遅刻~!」

A「あ、あなたは。」

B「?あぁ今朝の!・・・え~っと・・・私のファン!」

A「ファンじゃありません!勝手にファンにしないでください!まったくもう。」

B「まあまあ、いいじゃないの!ファンって事で!」

A「ファンじゃないし!」

B「サインあげるから!」

A「いらないわよ!」

B「プレミア付くのに~。まあいいや、私、北風まよ、よろしくね。」

=それが、私と北風まよの出会いだった。=

チャイム =昼食=

B「ちょっと~聞いてよ~この学校演劇部無いんだって!」

A「え・・・そういうのって普通リサーチしてから学校決めるんじゃ。」

B「だってその頃はまさか自分が演劇やりたくなるなんて思ってなかったもん。」

A「え・・・北風さんって中学の頃から演劇部だったんじゃ無いの?」

B「?違うわよ。」

A「じゃあ劇団に入ってるとか?」

B「全然。」

A「ちなみに聞くけど、いつから女優になりたかったの?」

B「一ヶ月前だけど、なにか?」

A「ハハ・・・ハハハハ。」

B「でも勉強はしたわよ!卒業後の長い休みを利用して演劇人のバイブルガラスの仮面を10回通読したり!下北沢の居酒屋で演劇論を語る団体に混じって論議をかわしたり!」

A「イヤイヤイヤ!駄目だろ!女子高生居酒屋入っちゃ駄目だろ!」

B「それなのに!あぁそれなのに!入った学校に演劇部が無いなんてあんまりだわ~!は!もしかしてこれは未来の大女優である私をおとしめる為の工作なのでは!本当は演劇部はあるのに私の才能をねたんだ誰かがこのクラスに嘘の情報を流しているのね!なんて事!行くわよ!」

A「え?な・・・何!どこ行くの?」

=職員室=

先生「演劇部?今は無いけど。」

A「ほら、やっぱり無いじゃない。」

B「今は無い・・・って事は・・・前はあったんですね?」

先生「確かに、一昨年まではあったわよ、でも3年生が卒業して次に入る人もいなくてね、去年無くなっちゃったのよ。」

B「復活はしないんですか?」

先生「そうねぇ、部室はまだ残ってるみたいだし、人数が揃えば復活できない事もないけど・・・。」

B「解りました!人数集めてきます!」

先生「そう、がんばってね。」

=教室=

A「で?どうするの?同好会にするにしても5人は集めなきゃなんでしょ?」

B「楽勝よ!後3人集めりゃいいんでしょ?」

A「3人?もう誰か入ったの?」

B「やっだ~!だ~か~ら~!私でしょ、あなたでしょ、で、後3人、ね!5人になるでしょ!楽勝楽勝~!」

A「へ?ななな何で私を数に入れてんの?」

B「なによ?いやなの?」

A「いやってゆうか・・・演劇なんてやった事もないし。」

B「だ~いじょうぶ大丈夫!すぐなれるって!」

A「お前もやった事ないだろ!」

B「確かに私は演劇を始めたばかりでやった事もないわ!でも才能はある!」

A「おお!」

B「多分。」

A「おいおいおい!」

B「いいじゃんいいじゃん、名前だけなんだから、今はあなたの力が必要なの、ね、お願いお願い!一生のお願い!。」

A「ま・・・まぁ名前だけなら、本当に名前だけだからね!」

校舎と空

A「こうして私は、演劇部改め、演劇同好会に入ることになった。」

宇宙人になった男(ミステリー小説)

 最近私はものすごい睡魔に襲われながら眠りに着く、それは夕飯を食べた直後から始まり、テレビを見て風呂に入るにつれだんだんと強まっていき10時か11時になる頃には完璧に意識を失ってしまう。

 そして毎晩のように夜中に死にそうな程の痛みが訪れる、しかし目を開けようとしても真っ暗で何も見えない。

 やがて貧血になったような目眩と頭の奥からザーっという音とともにまた意識を失ってしまう。

しかし目覚めると何事も無かったかのように体はぴんぴんしていて、生まれ変わったかのようにすっきりしている。

そんな状態がもうかれこれ2週間はたつ。

 もちろん何かの病気ではないだろうか?という疑いを持ち病院で精密検査を受けてみた。

しかし結果はすこぶる健康、かえって以前より健康になってるぐらいだった。

驚きなのは毎日二箱も煙草を吸っているにもかかわらず肺がピンク色だった事だ。

普通に考えたら真っ黒なはずだ。

その証拠に私が今の職場に正社員登録をするにあたって受けた健康診断での肺は真っ黒とまではいかないにしても真っ黒手前迄はいってたと記憶している。



もちろんその時の担当の医師にも煙草はなるべくひかえるように注意を受けていた。

 カルテのすり替えか何かの間違えではないかと疑ったがどうやらそれもないらしい。

 では何かの難病か?微生物が体中を綺麗にしてくれる代わりに毎晩睡魔と激痛がするとか?

 一応医者に相談してみたがそんな病気は聞いた事も無いという・・・。

しかも医者からは健康でどこも異常が見あたりませんと太鼓判を押されてしまった。

 何も異常が無い事を彼女に報告すると顔をほころばせて、良かったね、と笑う。
その顔は心底安堵したような、そんな顔だった。

 だけど私の心の安寧は訪れない、今日もまた睡魔が訪れる、そしてまた激痛が走る、そして何事も無かったかのように一日が始まるんだ。

 こんな激痛がするのならいっそ寝ないで起きていようかと頑張って睡魔を振り切ろうとしたがそんな私の頑張りもむなしく今日も真面目な小学生かの様にうとうとと眠ってしまう。
これは何かの呪いだろうか、うとうとと意識がなくなる瞬間、私は最近見た夢の事を思い出した。

 人間ではない何か異様な物体に自分の身体をまさぐられる、しかし私はそれを見ている事しかできない、身体は動かず言葉も発せられない。そんなおぞましい夢だった気がする。

 あれはいつどこで見た夢だったろうか、自分の家ではなかった気がするが思い出せない。
よく私は夢の続きを見ながら、あぁこれは以前に見た夢の続きだなと思っている時があるのだがあんなおぞましい夢の続きは一生見たくないものだ。
なぜならその夢の中の生物は私以外の人間もまさぐり、臓器という臓器を取り出し、観察し、全く同じ様な臓器の偽物を作りだし、そのパーツでもって一から人間を作り出したのだから。

 あの夢がもし現実ならあそこにいた人間は、いや、もしかしたら今生きている私すらも、あの謎の生物の作り出したレプリカという事になる。
だから絶対それはあり得ない事なのだ、あれは夢であり夢でしかなくそれ以上でもそれ以下でもないのだ。




 私の名前は松田幸雄、どこにでもいるサラリーマンだ。
サラリーマンと言ってもビシッとスーツを着て会議をしたり接待したりする方ではなくて泥と油にまみれた工場で機械のように、歯車のように日がな一日同じ事を繰り返す工場勤務のサラリーマンだ。
就職難のおり、たまたま契約社員で潜り込んだ職場だが私が無気力なりにも黙々と何も言わずに仕事をこなす姿を見て正社員にしてくれた奇特な会社だ。

 彼女と出会ったのは1年前、工場での職場恋愛だった。
12月の工場の忘年会の帰りにべろべろに酔っぱらった彼女を家が近いからという理由で押しつけられた。

 彼女の家に着いてベッドに寝かせると顔からものすごい汗をかいていて額に手をあてると熱が出ていた。見捨てる事もできたが万が一の事があって後からまわりに責められるのもつまらないなぁと思い看病した。

看病といってもその辺のタオルを濡らして額にのせて、後は悪くならないように見張ってるだけで彼女が目覚めたら早々に帰る予定だった。

 しかし彼女が目覚める前に私の方が眠ってしまっていたらしい。朝目覚めると彼女は起きていて私はソファーの上で横になっていた。

 起きた私は久しぶりにご飯が炊ける匂いというのをかいだと思う、それは忘れかけていた人間の温もりにも通じるなんだか懐かしい香りだった。

 彼女はなんと2人分の朝ご飯を作ってくれたのだ。
人が自分の為に作ってくれた食事というものを食べたのは実に何年ぶりだろうか。
こんなに心に染みる朝ご飯は生まれて始めて食べるような気がする。

 それ位私は人の優しさに飢えていたのだろう。
彼女の事は今まで全然知らなかったのだが何故か僕達は心を分かち合う事が出来た。なぜなら。

 私も孤独だが彼女も又、孤独だった。からだ。

 彼女も私も人生に絶望したはぐれものだったのだ。

 それ以来彼女は俺になつくようになり、私たちははそのまま付き合うようになり一ヶ月前ついに結婚した、新婚旅行はグアムだった。



 思えばこの激痛は新婚旅行のグアムのホテルに泊まっていた時から始まっている。
最初は食中毒かもしくはやっかいな伝染病ではないかと思って焦ったが翌日なんともなくなっていて逆にすっきりしていたのでそのまま気にする事もなく帰国したのだがまさかこんなに長引くとは夢にも思わなかった。

 やっぱり新種の伝染病なのだろうか・・・やっぱり海外は怖いなぁ、保険とか入った方がいいかなぁ、などと思いを巡らせながら夕飯を食べる。

 彼女の作る夕飯はお世辞にも凝ったとは言いがたいがそれなりに美味しい物だった。
ハンバーグとか生姜焼きとかカレーライスとか、下手したら自分にも作れるんじゃないかと思うようなメニューのオンパレードだ。
少々マンネリというかヘビーローテーションというか悪く言えばワンパターンのきらいがあるがまあ食べれるのでよしとしよう。

 第一私の安月給でご大層な料理を毎日作られたらそれだけで我が家は破産してしまうかもしれない。新婚一ヶ月にして一家離散だ。それだけは避けねばなるまい。

 ちなみに今日の夕飯はオムライスにサラダにワカメスープだった。ごはんさえあれば10分ぐらいで作れそうなラインナップだ、しかもワカメスープはインスタントだしオムライスの味付けはケチャップオンリーだ。
そんな手抜き飯にもかかわらず上にハートやらLOVEやら書かれていると幸せを感じる事ができるから不思議だ、世界7不思議にも匹敵する人体の不思議だ。



 結婚するにあたって彼女は会社を辞めた、元々人間不信で会社での人間関係にも疲れていたみたいだったので辞めるにあたって私は何も言えなかった。
結婚したのだから私が責任を持って彼女を幸せにしなくてはならない。
そんな責任感めいた物が私の中にも芽生えつつあった。

 しかし、だからといって私達は子供を作ろうという事には至らなかった。
もちろんそういった行為をしない訳ではない、大人なのだからやることはやってるし、だがその上での避妊は完璧で、まかりまちがってできてしまったとしても私達は躊躇無くおろすだろう。

 子供を殺さないという選択はそれがたとえ世間的に正論だろうがなんだろうが子供にとってはよけいなお世話でしかないという事を、世界は必ずしも幸せであふれているわけではない事を、人間不信な僕達は知ってしまっていたから。

 これは何も二人で話し合って決めた訳では無い、出会った時からの二人の共通理念に基づく考察だ。
だから彼女も同じ考えなのかどうかは聞かなきゃ解らないし、もしかしたら聞いても解らないかもしれない。

 しかしこうも思う、もし、彼女に子供ができて、そして彼女が産みたいと言ったなら。私は彼女におろせと言えるだろうか?多分言えないと思う。
それどころか自分の分身とも言える家族ができる事によって多少なりとも幸を感じる事ができるのではないだろうか。

 たとえ地獄の様な人生にその子が絶望する運命にあろうとも。



 彼女を疑い始めたのは最近見た夢のせいだ。

 夢の中で私は自分で自分をのぞき込むように上から見下ろしている。
自分で自分を見るという事態はなんとも不思議でまるで幽体離脱のようだがそもそも霊魂という存在自体を私は認めていないので、そうか、これは夢なんだ、なるほど、このふわふわした感覚は夢以外にはありえない。
よく夢の中で夢なんだなと実感する事があるがこれもまたそうなんだろうなあと思いながら眺めていた。

 するとそこへ彼女がやって来た。
そういえばもう結婚しているのに妻でなく彼女というのも考えてみれば変な話だがそこは新婚ほやほや、まあいずれ慣れて人に話す時は妻と呼ぶようになるだろうが後1年くらいはかかるだろう。

 すると、私は信じられないような光景を目撃してしまったのだ。
あまりの光景に私はあ然とした。
その夢はリアルで残酷でとても悲しい夢だった。

 その夢の中で彼女は私の顔にタオルを被せ、右手に持っている古びたナイフで私と思われる物体に何十という穴を空けていくのだ。

 とたんに夢である筈の私の身体に激痛が走る。
これはどういう事だろう。
まあおそらくは寝ている筈の私の身体になんらかの衝撃がかかって痛さを感じているのだろう、しかし寝ている私にかかる衝撃とは何だ?まさか今見ているこの光景ではないだろうな?

 血しぶきは部屋中に飛び散り、彼女の顔を、手を、身体を真っ赤に染めていく、だけど彼女の手は止まらない、彼女の顔は無表情で何を考えているのかわからない。

 もう止めてほしかった、こんな悲しい夢は見たくない。うんざりだ。
こんな夢はいい加減醒めてほしかった。

 「も・・・てくれ・・・。」
 私は目を瞑った、夢の中で目を瞑った、目を瞑ればこの夢から醒めると思っていた。

 身内に殺される夢というのは実はこれが始めてではない、あれはまだ私が一人暮らしを始めたばかりの頃だ。
どういう展開でそんな夢になってしまったのかは思い出せないが今でもはっきり覚えている感覚はある。
そう。
 


 私は実の母親に殺された。
夢を見た。
あの時母は出刃包丁の様な物を持ち、やおら私の心臓を貫いた。
ところで起きた。

 起きた私はなんでこんな夢を見てしまったんだろうと、なんだか悲しくて情けなくて、朝っぱらから馬鹿みたいに泣いていた。

 そんな夢を以前から見ていたせいもあるだろう。
いくらこれがリアルでも、激痛が走っていようと、私はそれが夢である事を疑わなかった。
その証拠にその夢を見た次の朝には私は紛れもなく生きていたのだから。
 


 しかしそんな私の物騒な夢を夢じゃないと裏付けてしまう証拠の品が発見されてしまった。

 あれは私がキッチンで捜し物をしていた時だ、たしか爪切りだか耳掻きだかを探していたと思う。

 流し付近の引き出しを空けた瞬間、私の思考は一瞬停止した。
なんとそこにはあの夢の中でしか見たことが無いような古びたナイフと睡眠薬と思われる錠剤が一緒になって隠されていた。

 ハルシオン(Halcyon)、トリアゾラムを使用した睡眠導入剤(睡眠薬)の代表的な商品名。
レイプや強盗などの犯罪によく使われる為、イギリスなどでは販売を中止されているスピード型の睡眠薬。

 なぜそんな物が我が家のキッチンの引き出しにあるんだろう・・・、いや・・・考えてみればこれで最近の不可解な眠気の原因が判明したようなものではないか。
しかしそれを認めるという事は同時に彼女を疑う事になる。
結局私は彼女に引き出しの中身の事を聞くことが出来なかった。

 しかし臆病者の私は完璧に彼女を信じる心持ちにもなれずびくびくと彼女を観察してしまうのだ。
それはあたかも戦争で敵兵に見つからないように移動する兵士のように、もしくはDVを受けている女のように、虐待を受けている子供のように、びくびくと彼女を観察してしまう。

 そんな日々が続くとふと、一人になった時や無心になって仕事をしている時など、なんだか悲しくて情けなくて、あの母に殺された夢を見た直後のように涙が出てきそうになるのだ。

 こんな苦しい生活は終わりにしなければならない。そう思い何度か彼女にあの引き出しの中身の事を訪ねようかとしたが、答えを聞いてしまうと今の外面的には幸せな生活が壊れてしまうのではないかと思い、やっぱり聞けずにいる弱い自分がいた。

 そもそもこんなびくびくした新婚生活なんてあまり幸せとは思えないが。
それでもその時の私は少しの幸せにすがりついて生きていたかった、いくらそれが浅はかだと思われようと粉々になってしまったとしても一つ一つ拾い集めて宝箱にしまって大切にしていたかったんだ。

 なぜなら私にはもう彼女以外に誰もいなかったからである。

 彼女以外に誰もいないなどと言うと多分皆私の事を可哀想な身の上なのだろうと勘違いするだろうが実はそうではない。




 もちろん親も友人も健在で何の問題も無いのだが、いつの頃だろうか記憶が断片的に消えていくというか書き換えられているというか、知っている人間である筈の親や友人の記憶がまるで本で読んだだけのような薄っぺらい物になっていくのだ。

 そうなるともうそれらは人ではなくてただの情報としてしか見えない自分がいた、ただの情報なのでその人に何かを求めるとか感情的に話し合うといった事ができなくなる。

 情報はただの情報でしかないので私はあたかも恋愛シミレーションゲームをやるかのように只々選択肢を間違えないように会話をつないでいく。
怒らせないように、悲しませないように、間違えないように、慎重に選択肢を選んでいく。
しかしただの情報なのでそんなコミュニケーションのふれあいで自分の心が埋まる筈もなく、心にすきま風をビュービュー空けながらひっそりと静かに消えるように皆の前から消えていった。
ようは一人でいる方が楽だし何より誰の迷惑にもならないからだ。
まあ帰ってこいと言われれば形式的には帰ってそれなりに会話もするのだがそれらはもう心許せる場所とは言えなくなってしまっている。

 そんな世間的には人間不信の根暗に分類されるであろう自分に豆芝のようについて来る彼女に、猫のように懐いてくる彼女に私の心は少なからず癒されていたし満たされてもいた。

 だから私には彼女を疑う事も、信じぬく事もできなかった。
夢は夢のままでいてほしかった。
あんな物発見しなければ彼女の事を信じ続ける事ができたのに、幸せなままでいられたのに・・・。
たとえそれが嘘で塗り固められたプラスチックの宝石だとしても。
私の中ではどんな高価な宝石よりも輝いていた。



 その日、いよいよ私はこらえきれなくなってある作戦を決行してみた。

 その作戦とはどうにか彼女にばれないようにして睡眠薬が入っていると思われる夕飯を食べないという作戦だ。
しかし全部は駄目だ、さすがに全部はばれると思い私は何か一種類、睡眠薬を入れやすそうなおかずに絞って残す事にした。

 今日の夕ご飯は目玉焼き付きハンバーグ、コールスローサラダ、コンソメスープ、ライスだった。

 (よし、この中ならハンバーグがあやしいな、ハンバーグにしよう)

 私はねらいを定めてポケットに忍ばせていたポリ袋を広げて太股の間に挟んむとコンソメスープを急いでのんだ。

 「ごめん、おかわりもらえるかな?」

 「早!もうのんだの?」

 「ぅん、なんかおいしくて。」

 そっか、と彼女は立ち上がりキッチンの方に向かう。
我が家のダイニングテーブルとキッチンは近いなりにも死角があり入り口にはのれんがある為うっかり見られる心配は無い。
 がチャッとガスコンロが付く音がする。
彼女の作るごはんのスープは殆どがレトルトなのでこれはやかんを火にかけた音だ、水の音は聞こえなかったのでちょっと冷めたお湯を温めたのだろう。

 (よし、これで音が鳴るまで大丈夫だ。)

 よくせっかちな人は音が鳴るタイプのやかんでも音が出る前に火を止めるが彼女はそうではなかった、よほどその音が好きなのか二三回ピーピー鳴るまで止めない。
普段はうるさいなあと思っているがこんな時は丁度良い、しかも半分は温まっているのですぐに沸くため、沸く間の時間にこちらに戻ってくるという事が無かった。

 私は広げていたポリ袋にご飯の上に乗せて水気を切っておいたハンバーグを急いで入れてあらかじめ空にしておいて何気なくと見せかけてテーブルの横に置いておいた会社の鞄にしまいこんだ。



 その日は思った通り眠くならなかった、時計を見ると11:40分を少しまわった所だ。
いくら眠くならないとはいえ眠ったふりをしなければ彼女に怪しまれると思い、私はベットに潜り込んでいた。
思えば眠くならずにこんな時間迄起きていられたのは何日ぶりだろう、やっぱり彼女はあの睡眠薬を夕飯に盛っていたのだろうか?
だとすればこのままここで眠ったふりをするのは危険ではないのか?

 私の頭の中にナイフを振りかざして何度も何度も私の身体を刺していく彼女の姿が現れた。

 いつ彼女に刺されるか解らない緊張感で私は布団に横になってたら気持ちよくって間違って寝ちゃった、という事も無く、眠ったふりをしつつも心臓はバクバクしていた。

 11:50分、静かにドアを開ける気配がする。
よほど気を使っているのだろう、神経を研ぎすましていなければ解らなかったくらいの静かな音で彼女が部屋に入ってきた。

 薄目を開けて人物を確認する、暗くて表情までは解らなかったが雰囲気といい背丈といい彼女に間違いなかった。
彼女はベットの後ろの方でなにやら掛け布団を少しずつ引っ張っていた。掛け布団が腰の位置迄脱がされる。
 すると、私の顔におもむろにタオルが被せられる、こうなるともう気配とカンに頼るしかない。私は神経を研ぎすまし、高校時代に授業の必修科目でやらされた剣道を思いだし、ありったけの神経を研ぎすませまくってナイフを避け、そのままぐるんと一回転してベットから落ちた。

 私が避けたせいでベットのシーツとマットに穴が空いてしまったがそんな事は気にしていられない。

 すぐさま私は証明のリモコンで灯りを付ける。

 「ちょちょっ!待って!待って!な何してんの?」

 と言って彼女から理由を聞こうとするとナイフを持った彼女は焦ったような困ったような顔をするとベットの下の引き出しの中から棒のような物を取り出して引き延ばした。
1メートルはあるかと思われるよく学校の先生が黒板の文字を指すときに使う指し棒の様なそれに触れるとビリビリと身体に電流が走って頭が真っ白になって私は気絶した。



 次の日の朝、日曜日、目覚めると彼女はいなかった。

 キッチンの引き出しを見ると睡眠薬とナイフは無くなっていた。

 ベットの下を見ても昨晩のあの電流が流れる武器は無かった。

 しかしマットに空いたナイフの跡が昨日の出来事が夢ではなかったという事実を思い知らせる。

 このまま彼女は帰ってこないんじゃないか?と思った。

 彼女の携帯に電話をかけてみる。

 「あなたのお掛けになった電話番号は・・・」

 電源を切られていた。

 起きたら彼女を問いつめようと思っていた私は放心状態でソファーに横になり、無気力に色々考えながら頭に入ってこないテレビを眺めていた。

 普通妻がいきなり連絡も無く家からいなくなったら探しに行くとか知人に聞くとかしそうなものだが昨日のあまりの出来事に何もする気が起きなかった。

 それに心のどこかで彼女は必ず私を殺しに来る。
という根拠の無い確信があった。

 11:50分、意外にも彼女は現れなかった。
私はベットには入らず電気を付けたリビングのソファーでテレビを付けずに待っていた。

 私がその異変に気づいたのは時計が11:55分を少し回った時だった。
それまで何ともなかった身体が突然痺れはじめてきたのだ。
しかも掌を見るとなぜかひとまわり大きい、私はとてもじゃないが座っていられなくなってソファーに横になる。

 すると嘘みたいに膨らんだグローブのような掌がだんだんと溶けだしてきた。

 私は信じられなくなって無理矢理身体を動かして起きあがろうとしたが起き上がれずテーブルにうつ伏せになる。

 綺麗に磨かれたガラスのテーブルには手が溶けるよりももっと信じられないモノが写っていた。



 テーブルに写っているはずの自分の顔はもはや人間の顔も形もとどめていないどろどろとした異様な物体だった。

 しかしそのどろどろとした物体に私はなぜか見覚えがあった。そうだ、あの夢に出てきた宇宙人のような化け物だ!

 わたしが自分自身の姿に絶句していると突然扉が開きナイフを持った彼女が入って来て私の体を刺していく。
どろどろの身体でもしっかり起きているので今までで一番痛かった。
しかし私はもう抵抗する事はなかった。

 なぜなら彼女がそうやって私の事を助けていたんだという事がなんとなく解ってしまったからだ。

 そうやって彼女は何も言えずに相談も打ち明ける事もできずに、こんな身体になってしまったかわいそうな私の為に一人で戦っていたのだろう。

 もうそれだけで十分じゃないか、今迄の私の人生の中でいったい誰がここまでしてくれた?見捨てる事も出来たはずなのにこんなちっぽけな男の為に。

 頭の中が真っ白になってきた、痛さはもう感じない、ただポカポカと小春日和のような暖かさに身体も心も包まれていた。


 翌朝、私の身体は元に戻っていた。
昨晩のあのどろどろとした地球外生命体のような姿はどこかに消え、紛れもない自分の身体がそこにはあった。

 いったい私の身体はどうなってしまったというのだろう。まるで自分の身体が自分の身体では無いように感じられる。

 そうだ、彼女は、彼女はまだ家にいるだろうか?もしかしたらまた消えてしまっているかもしれないな、と思い、彼女を捜してキッチンに行く。
すると彼女は何事も無かったかのように鼻歌を歌いながら朝ご飯を作っていた。

 「ん?どうしたの?幽霊でも見たような顔して?」

 私はそこはかとない違和感を感じていた、そりゃあそうだ、昨日あんな事があったというのに彼女は明るすぎるのだ。

 昨日の事をごまかしているのだろうか?とも思ったがそれとも違う、なんていうか今迄見たことも無いくらいに明るいのだ、それはまるで人が変わってしまったかのようだった。

 「朝ご飯できたわよ。」

 そう言う彼女の声を聞いてテーブルに向かう、しかし食卓に乗った朝ご飯は私が想像していた物とはかなり違った。

 それはどろどろとしたピンクのような紫のような異様な色をした今まで食べた事も無いような不気味な、とてもじゃないが食べ物とは言いがたいモノだった。
しかもソレは四方六方にぐちゃぐちゃうごめいている。

 「いっただきま~っす。」

 と言うと、彼女はとても美味しそうな顔をしてソレを食べていた。

 「?どうしたの?食べないの?」
 と、不思議そうな顔をして彼女が訪ねる。

 「あ・・・あぁ。」

 私はおそるおそるソレをスプーンで口に運んでみた。
不思議とソレは意外にも美味しかった。
私はソレをガツガツと一心不乱に食べた。

 「あら?どこかで事件かしら?やあねえ。」

 耳を澄ますとパトカーらしき音が聞こえる。
それはだんだんと大きくなり、そして止まった。



 「な~にしてるんですか?速見さん?」

 その男が屋上のベンチで大学ノートに書かれた日記を読みながら昼食をとっていると交通課らしい婦警3人が男を取り囲んだ。

 「お昼ご一緒してもよろしいですかぁ?」

 彼の名前は速見薫、容姿端麗、頭脳明晰で若干26歳という若さで警部迄上り詰めたいわばエリートだ。

 「何読んでたんですか?」

 と、婦警の一人が訪ねる。

 「あぁ、1年前に片付いた事件なんだが、どうやら犯人が先日獄中で自殺したらしいんだ。」

 「あ!私その事件知ってます!犯人が頭おかしくなっちゃって自分は宇宙人だとか言ってたやつですよね?」

 と別の婦警が答える。

 「あぁ、奥さん殺して食べてたってやつ?」

 と、クールそうな婦警が答える。

 「ぶー!!ちょっと!やめてよ!ご飯中に!」

 とマイペースにしっかりごはんを食べていた婦警が叫ぶ。

 「やっぱ殺人犯なんて皆頭おかしいんだって、宇宙人なんているわけないじゃん。いるんだったら見せなさいよっての。」

 どうやらかの事件は署内で都市伝説のようになっているらしかった。

 「結局皆妄想でしょ?大体幽霊とかUFOとか騒いでる連中なんて皆妄想か幻覚みてるんだって、脳がおかしくなってんのよ。」

 などと霊能者が聞いたら殴られそうな事を好き勝手言う婦警達だった、が。

 「そうとも限りませんよ。」

 と、意味ありげに言ってみる。

 「「「へ?」」」

 3人の婦警の声が綺麗にハモる。

 「世の中には妄想や幻覚だけでは片づけられない不思議な事が多々あるものです、」

 婦警達は無言で男の言葉に注目した。

 「知っていますか?自殺した犯人の、その後の遺体がどうなったか。
警察病院の霊安室に安置してたその遺体は。」

 ごくり。婦警達はまるで怪談話を聞くかのように目を見開く。

 「次の日の朝には消えて無くなっていたんです。
そして彼が消えた跡にはどろどろになったピンク色の液体が残っていたらしいですよ。」





私立仮面学園演劇部(挿絵付けました)

それは春うららかな暖かい休み時間のことだった。

私は高校に入って出来た友達と一緒にお昼ごはんを食べていた。

友人のご飯はカロリーメイト一箱・・・足りるのだろうか?

彼女の名前は北風まよ。

演劇部らしい。

「んでね先生に聞いたら部員が全員卒業しちゃったらしいのよ。」

彼女はお菓子のようなそれをちびちび食べながら近況報告をする。

「だから部活入らないんなら名前だけでも入れてほしいんだけど・・・駄目かな~」

まあ・・・名前だけなら・・・

と了解し私は全く興味もない演劇部に入った。

北風まよ

私立仮面学園演劇部(2)挿絵付

小さい文字放課後私は友達のまよにつれられて演劇部の部室に案内された。

テニスコートの横に建てられたベニヤで作ったようなプレハブの部室棟・・・その一角に演劇部の部室はあった。

入ってみると教室で使っている机を4つならべた物と、何年前に使ったかわからないような黄ばんだ衣装、それにカラーボックスの中には往年の劇団関係者が書いたであろう演劇メソッドのハウツー本などが並んでいた。

広さはおよそ6畳・・・

二人だからいいようなものの沢山人数がいる部活とか大変だな・・・

「ちょっと待ってね~たしかこの辺にあったから」

まよは机の中をごそごそとあさった。

他の机の中を見てみるといかにも学校のコピー機で刷ったような再生紙製のシナリオがどっさりとあった。

「あったあった~はい、入部届け!」

入部届けを半ば強制的に書かれた後、私はまよに聞いてみた。

「・・・ねえ・・・本当に名前だけでいいんだよねぇ・・・私演技とか出来ないよ・・・。」

「大丈夫大丈夫~、よっぽどの事が無い限り役者はやらせないから。」

・・・って事はよっぽどの事があったらやらせるんかい!

などと思いながらもまぁそれもアリかな・・・っと思ってる自分もいた。

主人公


私立仮面学園演劇部(3)

入部届けを書かされた私はまよと一緒に窓から見えるテニス部の練習風景を見ていた。

するとまよがぼそっと。

「次のターゲットはあの先輩だから。」

と言った。

あの先輩って誰だ?と思いながらあの先輩を探す、と、周りの黒髪女子と比べると明らかに異彩を放った3年生らしき人が目に止まった。

「・・・もしかして・・・あの人?」

まよはこくりと頷く。

その先輩は金髪にタテロール、という奇抜なヘアスタイルにピンクのユニフォームを着ていた。

「・・・ヤンキー?・・・キャバ嬢?・・・いや・・・御蝶婦人!!」

と言ってるとまよが。

「何言ってるのよ!金髪タテロールと言ったらあゆみさんじゃない!」

と言って。

「部活が終わったらスカウトしてくる!」

とのたまった。

・・・行動力あるなぁ・・・もうすでにテニス部入ってるってのに、・・・まよ・・・恐ろしい子!!

私立仮面学園演劇部(4)挿絵付

私たちはテニス部の練習が終わるのを待って校門の前にスタンバった。

・・・っていうか私名前だけでいいはずでは・・・あ~ぁ夕方の韓流ドラマ見れないよ~。

「来た!!」

まよが小声で叫ぶ。

ふと見ると金髪タテロールに制服を着たギャルのような御蝶婦人のようなあゆみさんのような先輩がこちらの向かって歩いて来た。

「で?どうするの?」

と聞くとまよはなにやら暗い顔をしてぶつぶつ独り言を言っていた。

・・・うわっ危ない系?・・・友達やめようかな・・・。

と思ってると、まよは先輩に駆け寄って。

「先輩!・・・あの私1年C組の北風まよです、先輩におりいってお願いがあるんですけど・・・ぜひ我が演劇部に入って下さい!」

・・・。

「やだね。」

終了~。

と、思いきや。

「そんな事言っていいんですかぁ、先輩、そんな事言うと、まよ、何するか解りませんよ・・・ねぇ、あ・ゆ・み・せ・ん・ぱ・い。」

・・・こいつはこの先輩の何を知ってるというんだろう。

しかし先輩は青ざめた顔をして。

「ちょっと考えさせて。」

と言った。

「そうですか~よ~っく考えて下さいね~あっこれ、私からのプレゼントです。」

と、まよは先輩に封筒の様なものを渡すと先輩は逃げる様に帰っていった。

「本当にあゆみ先輩だったんだね~。」

と言うと。

「え?ちがうよ~本名は一条はるか、あゆみは源氏名だって~。」

なるほど、そういう訳か・・・まよ・・・恐ろしい子!!

その後、あゆみ先輩から入部してもいいと連絡があった、ただしテニス部の活動が終わるまで暇な時しか来れないらしい。

演劇部に新たな幽霊部員がくわわった。

あゆ



私立仮面学園演劇部(5)挿絵付

その日、演劇部の部室に来たら先客が居た。

しかも男2人!その男二人がなんと抱き合っていた。

しばらくの間時が止まっているように感じたが向こうもこっちに気がついたらしく二人して俯いてしまった。

気まずい空気が流れる。

その空気をはねのけるように我が演劇部の部長、北風まよが入って来た。

「あ!二人とも来てくれたんだ!ごくろうごくろう。」

私はまよの制服の袖を引っ張り、ちょっと遠くに引き寄せ小声で言う。

「ちょっとまよ!あの人達誰よ!」

「え?新入部員だけど?」

「マジで?やめた方がいいよ!さっきあの二人抱き合ってたよ!」

「だから面白いんじゃん!」

「は?」

「いや~真澄様や桜小路君に似た人探してたんだけどいなくてさ~も~共通点だけ探してビビ~って来たのがあの二人だった訳!」

「共通点ってなによ?」

「王道カップリング繋がり。」

「は?」

「がらかめの王道カップリングといえば速見真澄×桜小路優でしょ!んでうちの学校の裏サイト見てたらカップリングランキング第1位だったのがあの二人なのよ!」

なんだか解らない単語が沢山出て来た。

「しかもこの二人!ニ卵生双生児の双子で近親相姦なのよ~萌えるわ~!」

「・・・」

「まあいいじゃない!5人そろえばとりあえず廃部の危機は免れる訳だし!」

そんなこんなを私達が話していると、さすがにいずらくなったのか。

「あの~僕達はこれで・・・。」

というとそそくさと出ていってしまった。

「今度は何使って脅したのよ。」

「脅すなんて人聞きの悪い!でもまぁ内緒って事で。」

まぁあの人達もこの部長の召集が来るまで来ないんだろうな。

演劇部に幽霊部員が2人増えた。

kasiwabara_001.png


私立仮面学園演劇部(6)

夏も終わり、海にはもうちらほらクラゲなんかいるんだろうなぁ・・・という頃、我が演劇部部長、北風まよの召集がかかった。

思えば1学期の前半、半ば無理矢理に集められた部員によって集められた演劇部は、活動らしき活動もしないまま時がすぎ、私がもう演劇部である事を忘れ、いつも通り帰りのHR終わりに帰ろうとしていた所、まよに呼び止められた。

「明日の放課後演劇部の活動するからよろしくね~。」

あぁそうか・・・そういえばそんな部活に入ってたっけ。

「体動かすから体操服忘れないでよ!」

そう言うとまよは鞄ももたずにそそくさとどこかへ走っていった。

多分先輩達に連絡しに行ったのだろう。うちの学校は携帯電話の持ち込みは禁止だった。
隠れてこっそり持ち込もうものなら月一の検査で発見されて新機種だろうとハイスペックだろうとその場で破壊されてしまう。

次の日の放課後、何ヶ月ぶりかの演劇部の活動が再開された・・・っていうか私は活動らしい活動をした事がない。

私が入ろうとするとBLの先輩達がいちゃついている声が聞こえた。

・・・いつも早いなぁこの二人・・・。

他には誰も居なさそうだったので私はドアの前でしゃがんで誰か来るのをまっていた。

すると金髪の御蝶婦人なあゆみさんがやって来た。

「なにしてんの?入らないの?」

「あぁ!まだ入らない方が!」

ガラッ!

「?どうしたの?」

中を見るとBLな先輩達はちゃんと身なりを整えて席についていた。

・・・よかった。さっきのさっきまでPーをP-してP-P-言ってたのが嘘のようだ。

部室を見ると窓には前は無かった厚手のカーテンがしっかりかかっていた。

用意周到だ・・・ってゆーかこの二人毎日ここでこーゆー事してるんじゃ・・・。

そんな事を思っていると、遅れて部長のまよがやって来た。

「今日集まってもらったのは他でもありません!もうすぐ文化祭なので私達は劇をやります!」

「え?」

皆の気持ちは一緒だった。幽霊部員でいいはず。だから私達はここにいる。

「仕方ないでしょ~!しなきゃ廃部とか言われたんだもん!あの眼鏡にさ!」

眼鏡とは生徒会長の事だろう、学校の規律をただすためと携帯電話の持ち込みを厳しくとりしまったのもこの人だ。なるほど確かに大した活動もしていない部活に部費をふりわけたり部室を提供したりするのは無駄だと思われてもしかたない。

結局あゆみさんは眼鏡の生徒会長が個人的に嫌いという理由から、BL先輩は部室を追い出されたらいちゃつく場所がなくなってしまうという理由から文化祭の参加を承諾した。


私立仮面学園演劇部(7)

「大体あの生徒会長うざいのよ!会うたび会うたび髪戻せ戻せって!地毛だっつーの!どうしろっつーの!」

あゆみさんは立腹しながらも足上げ腹筋をやり続ける。

さすがテニス部だっただけあって体力はある、もうかれこれ100回以上はやっている。

私はあゆみさんを横目で眺めながら

なるほど・・・この金髪は地毛だったのか・・・。

などと思っていた。

まよ曰く。

「演劇の基本は腹筋よ!劇場の隅々迄声が届かなきゃ意味が無いんだから!」

だ、そうだ。

しかし体力作りはいいけど・・・まよは何演劇をするつもりなんだろう。

私はまよを横目で見てみる。

まよは足上げ腹筋をしながら文庫版ガラスの仮面を読みなにやらぶつぶついっている。

相変わらず気持ちの悪いやつだ。




部活が終わり、まよと二人で帰っている途中立ち寄った本屋で私はまよに聞いてみた。

「ねぇ、まよ、劇って何やるの?」

「・・・」

まよはじーっと何かを見ていた。

「ねえ、まよ?」

「こっこれよ!これ!これだわ!」

「へ?」

「これだってば!」

「こっ・・・これは!!」

                 つづく

私立仮面学園演劇部(8)

それから一週間程たった部活終了後、演劇部部長である北風まよからシナリオが渡された。

「文化祭の劇はこれをやります!」

手渡された台本には

「舞台版 朝比奈みくるの冒険エピソード 
00」

とあった。

私はてっきりガラスの仮面でもやるもんだと思っていたが違かった。

まよ曰く。

「そっちも考えたんだけどさ~なんせ皆シロウトでしょ?クオリティー的にどうかと思ってね。」

だ、そうだ。

しかし・・・朝比奈みくるって誰だ?

あゆみ先輩も榊原先輩達も知らないらしい、私達は困惑を隠しきれなかった。

「とにかく!明日から練習始めるから!皆台詞覚えて来てね!」

かくして、私達演劇部は、部長の北風まよしか知らない謎の劇、「舞台版 朝比奈みくるの冒険 エピソード00」をやる事になった。




次の日の休み時間、私とまよがお昼ご飯をとっていると、クラスメイトの桜庭さんがやってきた。

「ねぇ~まよ~あんた達の部活朝比奈みくるの冒険やるんでしょ~いいな~混ぜてよ~」

・・・なるほど、朝比奈みくるの冒険ってそっち系の人には有名なのか・・・。

桜庭さんは漫研に入っている。

「やりたいなら演劇部に入りなさいよ」

「演劇部かぁ~まような~榊原兄弟いるしなぁ私、良人×悪人派なんだよね~w」

「入っちゃえ入っちゃえ」

「う~ん・・・考えとくよ~」

・・・入らないな。

なんとなく思った。

が、





「舞台版 朝比奈みくるの冒険 エピソード 00」

キャスト

朝比奈ミクル・・・一条はるか(あゆみさん)

長門ユキ・・・田中英子

小泉イツキ・・・榊原良人(弟)

鶴谷さん・・・北風まよ

その他男性・・・榊原悪人(兄)

友情出演 桜庭咲弥



驚いた事に漫研の桜庭さんは友情出演という形で演劇部に潜り込んだ。

しかも男役。

「いいね~あたし一度僕っ子コーデやってみたかったんだよね~」

「まぁ台詞も何にも無い役だから本番ぎりぎり迄来なくていいから。」

桜庭さんは漫研の同人誌制作が忙しい為、本当に台詞も何にも無い役をする事になった。






放課後の部活の時間、私達演劇部は「舞台版 朝比奈みくるの冒険 エピソード00」の練習をする事になった。

「じゃあバトルシーンの練習をします。」

ちなみにまよは鶴谷さん役、兼 監督だ。

「あなたの思い通りにはさせません!」

カット!!

「台詞間違えてますよあゆみ先輩!正しくは、あ、あ、あなたの思い通りにはさせさせません!ですよ。」

「え、マジで!これ誤字だと思ってたよ。」

「それにそんなカッコ良くしてどーするんですか~ここはもっとふにゃふにゃナヨナヨ言ってくんなきゃ。」

「え、そうなの?てっきり正義のヒーローらしくカッコ良くキメルんだと思った。」

どうやら本物の朝比奈ミクルとあゆみさんの想像している朝比奈ミクルではイメージが異なっているらしい。

文化祭迄残り1ヶ月・・・前途多難だ。

私立仮面学園演劇部(9)

文化祭迄後一週間という時になったある日の事、突如、その人はやってきた。

その日、主役の朝比奈ミクルをやるあゆみさんはピリピリしていた。

「いいか!もぉ台詞増やすなよ!ったく毎日毎日台詞増やしやがって!」

結局オリジナルの方の朝比奈ミクルの冒険エピソード00は台詞が極端に少なくて10分にも満たないという事でまよの妄想で毎日毎日台詞が増えるという事態がこの3週間に渡っておよんだ。

「解りましたよまぁなんとか30分位にはなったしもう増やしませんから。」

「あっそれと英子!」

英子とは私の事だ、昔お母さんがハマっていたヴィジュアルバンドのボーカルの名前から取ったらしい、もし男だったらまんまその人の名前を付けられていたらしい・・・女に生まれてよかったと思う・・・しかし今時名前に子は無いだろ・・・。

「あんたもっと声出しなさいよ!本番奥まで聞こえないわよ!」

「え・・・この前はもっとぼそぼそしゃべれって言ってなかった?」

「ぼそぼそしゃべりながら声出すのよ!某熱血劇団じゃないんだから叫んでたら作品のイメージ崩れるでしょーが!」

・・・まよさん・・・私にそんな高度な技は使えません・・・

「しかたないわね潤オじゃあ当日はピンマイク使っていいから。」

・・・よかった。本当によかった。


「じゃあ通し稽古やるわよ!」

その他男性兼音響の榊原(兄)先輩がオープニングを流す。

あゆみさんと良人先輩のラブシーンになると毎回兄から負のオーラがただようので見てて面白い。

通し稽古も終盤にさしかかった頃、あゆみさんがあからさまに嫌そうな顔をした。

なんだろう・・・と思って廊下の方を見てみるとあゆみさんの嫌いな生徒会長が立っていた。




通し稽古が終わるとあゆみさんが生徒会長に掴みかかった。

「ちょっと!あんた何しに来たのよ!」

「なんでって、生徒会長として演劇部の劇を見に来たんだろ、下手な物見せられたら我が校の恥だからな。」

「恥って何よ!恥って!」

「それと、君のその頭!当日迄に戻さないと舞台には上がらせないからな!」

「だからこれは地毛だって前から言ってるでしょ!」

「染めてる奴は皆そう言うんだ。」

「嘘じゃないわよ!あ潤オもぅムカつく潤オ!」


「君のような人間に好かれたくはないね。」

「誰が!!あんたなんて一生かかっても好きにならないわよ!!」

なぜかあゆみさんは怒りながら顔をあからめている。

・・・こ・・・これは・・・。

「あの潤オ先輩方潤オ夫婦喧嘩はよそ行ってやってくれませんか潤オ」

2人「夫婦じゃない!!!!!!」

・・・息もぴったりっすね。

あゆみさんと生徒会長の微妙な関係が発覚した今日この頃だった。

文化祭まで残り6日。

あゆみさんちの家庭の事情

 私立仮面学園の四コマを作りましたw

あゆみさんち_001 

ぷものがたり

動物四コマ作ってみました~ぷものがたり

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